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ギブアンドテイク【後編】

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そのテレビの音も小さくなって、音量を下げてくれたのだとわかる。


「えーと、電話出るまで長かったね。ごめん、忙しかった?」

「……いや、ちょっと……動揺して」

「動揺?」


聞き返すと、沈黙されてしまった。


「……滝本から電話来るとか、想定してなかったから」

「あー、そっか。そうだよね!メールしようと思ったんだけど、何書いたらいいかわかんなくて。元気?九州慣れた?」

「うん。わりと慣れた」


……あれ、こんなに言葉が続かないものだったっけ。

高峰相手だぞ、緊張するわけがないのに。

えっと、えっと、


「よかった!じゃあ、またね!」

「え」


何か言い返されるより早く、電話を切った。

声を聞けて、元気なことがわかっただけで、もういっぱいいっぱいだ。

携帯を枕元に投げて、ベッドに寝転がれるスペースを足で作る。


「こりゃあ、足の踏み場もなくなるわけよね」


眠くて眠くて、それどころじゃないけど。

久しぶりに落ち着いて、ゆっくり眠れそうだもの。