ギブアンドテイク【後編】
その年の、お盆休み前の金曜日。
「やっぱりもっとフォーマルなところじゃなくていいの?」
「いいの。滝本の実家、皿も多いし広いし、何よりおまえの手料理を食わせてやりたいんだよ」
「……ムダにプレッシャー与えないでくれる」
大掃除と仕込みをかねて、高峰が久しぶりにわたしの実家に来た。
わたしも彼も有給を使って、両家あいさつに備えるためだ。
バカな高峰は、そう言ってきかなかったのだけど、いやもうやめてほしい。
「そうめんとか……もうアレンジしようがないのに。めんゆでるだけなのに」
「久しぶりの日本だから何食ってもうまいしか言わねーよ。考えてもみろ、俺の親だぞ?」
「ははっ!それは心強いわー」
たしかに、めんゆでられるのすごいとか言いかねない。
リクエストがそうめんと聞いて、お中元でいっぱいもらったからそれはありがたいんだけど。
……いいのかな、そんな夏休みのネタ切れのお母さんみたいなことして。
「なんか他に食べたいのないの?」
「うーん。あ、シチュー食べたい!」
「……あんた今の季節分かってる?連日真夏日なんだけど分かってる?」
聞く相手をまちがえたな。
「やっぱりもっとフォーマルなところじゃなくていいの?」
「いいの。滝本の実家、皿も多いし広いし、何よりおまえの手料理を食わせてやりたいんだよ」
「……ムダにプレッシャー与えないでくれる」
大掃除と仕込みをかねて、高峰が久しぶりにわたしの実家に来た。
わたしも彼も有給を使って、両家あいさつに備えるためだ。
バカな高峰は、そう言ってきかなかったのだけど、いやもうやめてほしい。
「そうめんとか……もうアレンジしようがないのに。めんゆでるだけなのに」
「久しぶりの日本だから何食ってもうまいしか言わねーよ。考えてもみろ、俺の親だぞ?」
「ははっ!それは心強いわー」
たしかに、めんゆでられるのすごいとか言いかねない。
リクエストがそうめんと聞いて、お中元でいっぱいもらったからそれはありがたいんだけど。
……いいのかな、そんな夏休みのネタ切れのお母さんみたいなことして。
「なんか他に食べたいのないの?」
「うーん。あ、シチュー食べたい!」
「……あんた今の季節分かってる?連日真夏日なんだけど分かってる?」
聞く相手をまちがえたな。
作品名:ギブアンドテイク【後編】 作家名:かずさ