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ギブアンドテイク【後編】

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そっか、と花田ちゃん。


「まあ、たきもっちゃん見てたら、高峰くんがいかに大事か分かるしね。でも、結婚て……どうしてそうなったの?」

「高峰、土曜に会社休んでこっち来てくれたんだよね。で、結婚しようって」

「え、なんかいろいろすっ飛ばしてるけど」


付き合うとかじゃなくて、結婚?と疑問に思うのは、もっともだと思う。

すんなり受け入れたわたしの方がおかしい。

わたしたちは、「彼氏と彼女」とふつうの枠からはズレているのは、たしかだから。


「正直、結婚のことをあんまり深く考えてない。ずっと一緒にいられるなら、なんでもいいんだ」


高峰以上に、そうあってほしい人がいない。

彼だって、同じだと思う。

それだけで、理由は十分だ。


「そういう考え方もあるのね」

「婚約指輪もらって、逆に実感わかなくなったんだけど」

「えー!見たい見たい!」


急にテンションの上がった花田ちゃんに、わたしはこわくてつけられない指輪の入った小箱を出して、開けてみせた。

こんな高いものもらえないと思ったけど、けじめの形だと言われると、宝物になった。

ずっと一緒の、証。


「すごい……きれいだね」

「うん。宝石の価値は分からないけど、きれい」

「つけるのもったいないっての、わかるわー」


あまり身綺麗にしないから、余計に浮いてしまって、とてもつけられない。