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ギブアンドテイク【後編】

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はりきって晩ご飯を作ると言うので、俺は掃除をはりきることにした。


「うっわ、1ヶ月でブラウスだいぶ増えたな。しかも同じのばっかり」

「だって選ぶのめんどくさいんだもん。それに、違うのばっかりだと洗濯してないって思われるじゃない」

「いやいや、事実だろ」


ベッドを取り囲む洗濯物の量は、過去最高レベル。

洗濯乾燥機には、下着が放り込まれたままで、いわく「乾かしたらこのカゴに移して、脱ぐときに洗濯機に放り込むのがベストだと気付いたのよ」。

……洗って使うものがゼロでなくなっただけ、進歩だと思うことにした。


「よくこんな部屋で生活できたな……」

「睡眠の質はさすがに落ちるけどね。でもほら、案外何とかなってたでしょ」

「……そうだな」


とりあえず、ブラウスを一気に洗って、部屋の掃除をする。

いつものように独断で不要物を捨て、日がまだ暖かいうちにベッドのふとんを干し、滝本が包丁を使わなくなってから掃除機をかけた。

……何をどうしたらこうなるのかいまだ不明だが、一緒に住めば分かるのだろうか。


「あ、そういえば今日泊まるところ見つけたの?」

「あー忘れてた。いくらでもビジネスホテルとかあるだろ、東京だし」

「うち泊まってけば?ソファーだけど」


思わず吹き出してしまう。

さらりと言うが、滝本さんは俺に夜を徹して掃除しろと言いたいんですか。


「せっかく東京来たんだし、明日は早起きしてどっか出かけようよ」


あまりに無邪気な提案に、自分の下心がバカらしく思える。

せっかくの再会に、水を差すマネは出来ないよ。