ギブアンドテイク【後編】
そうしてその日のうちに店員の彼女にアドバイスをもらって選び、クレジット決済で買った指輪の入った小箱は、今、彼女に差し出した。
「嘘じゃない」
「え、だって……」
「俺も、離れてはっきりした。俺には、どうしたって滝本が必要だ」
買ってしまえば決心がつくって、本当だな。
荒療治すぎるけど。
小さな無機物は、その存在感でごまかすことを許してくれない。
「俺に、ついてきてくれないか」
シンプルな言葉。
飾ることはいくらでもできるけど、結局のところ言いたいのは、それだけだ。
言葉が足りないと思いつつ、過剰になるほうがうさんくさくなったりするものだと思うから……特に、彼女に対しては。
「いいの?わたし、料理しか取り柄ないけど」
「いいんじゃないの。俺はそこしか欠点ないし」
「うーわー……」
涙ぐみながら、いつものように飾らない言葉を交わす彼女の手をとる。
和ませるようにちゃかした返答をすれば、引き気味の声とはうらはらに、笑顔を見せた。
小箱を開けて、その婚約指輪を抜いた。
「ーーはめていい?」
「うん。どうぞ」
照れた彼女が、俺に向けた手の力をゆるめて委ねることで、言葉以上の答えを実感させてくれた。
「嘘じゃない」
「え、だって……」
「俺も、離れてはっきりした。俺には、どうしたって滝本が必要だ」
買ってしまえば決心がつくって、本当だな。
荒療治すぎるけど。
小さな無機物は、その存在感でごまかすことを許してくれない。
「俺に、ついてきてくれないか」
シンプルな言葉。
飾ることはいくらでもできるけど、結局のところ言いたいのは、それだけだ。
言葉が足りないと思いつつ、過剰になるほうがうさんくさくなったりするものだと思うから……特に、彼女に対しては。
「いいの?わたし、料理しか取り柄ないけど」
「いいんじゃないの。俺はそこしか欠点ないし」
「うーわー……」
涙ぐみながら、いつものように飾らない言葉を交わす彼女の手をとる。
和ませるようにちゃかした返答をすれば、引き気味の声とはうらはらに、笑顔を見せた。
小箱を開けて、その婚約指輪を抜いた。
「ーーはめていい?」
「うん。どうぞ」
照れた彼女が、俺に向けた手の力をゆるめて委ねることで、言葉以上の答えを実感させてくれた。
作品名:ギブアンドテイク【後編】 作家名:かずさ