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ギブアンドテイク【後編】

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新しい2人の始まりへ

side 高峰



サプライズには、勇気がいる。


「婚約指輪ですか?」

「え、あ……はい。でもまあ、見てるだけなので」

「そうですか。気になったのがあったらおっしゃってくださいね」


転勤してからの週末は、約束するような人もなくて、でも出不精にはなりたくないと買い物するでもなくぶらぶらしていた。

東京に比べたら地方の市街地はさっぱりした印象で、行きつけのパターンも決まっていない俺は、何の気なしに百貨店をぐるりと回ったのだ。

宝飾コーナーの前で、特別きらびやかな指輪を見てなんとなく近づいたら、案の定店員に声をかけられた。


「やっぱ高いんだな」


俺にはただのガラスのように見えるそれも、ケタがまるで違う。

婚約指輪は給料3ヶ月分と聞くが、それよりはずいぶんと良心的なのが多いんだな。

まあ……あげるあげない以前に、俺と彼女はそういう関係ですらないけど。


「そうですね。でも、買ってしまったら決心がつくって、わたしの彼が言ってました」

「え、婚約されたんですか」

「あっ、すみません!なんか私情で」


しれっと俺のひとり言を拾った店員の女性は、ぱっと見た感じではどちらかといえば控えめな性格なのだと思う。

売り上げは大事だろうが、そこまで媚びた印象もなくて、好感が持てた。

彼女の左手薬指には、その証がある。


「すてきな指輪ですね」

「あ……ありがとうございます」

「婚約おめでとうございます」


社交辞令だけでなく、するっとお祝いの言葉が出たのは、彼女がとてもしあわせそうだったからだ。