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ギブアンドテイク【後編】

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彼の前にはそれらを、わたしの前にはおかゆとみそ汁を並べた。

彼がいるーーそれだけで、もうこの食卓はあたたかいと思える。


「いただきます」

「……いただきます」


高峰の変わらず丁寧な食前のあいさつに、わたしもいつもより丁寧に手を合わせた。

猫舌にはちょうどいい加減に冷めたおかゆを食べる。

レトルトなだけあって、いい塩加減だ。


「ハンバーグ、相変わらずうまいよ」

「それはよかった」

「……久しぶりにまともにお腹すいて、何人分でもいけそうだな」


言葉通り、ペロリとご飯を平らげて、彼は冷凍庫にあるご飯を出してチンし始める。

そんなに食べるつもりだったなら、ご飯炊いたのにな。

待ち時間にみそ汁を飲んだ彼が、真正面からわたしを見つめる。


「なに、……どうかした?」

「俺、他のどんな料理より、ーー滝本が作ったご飯がいちばん好きなんだ」

「ほんとに?変なの。わたしの料理の腕なんて本当に大したことないのに、いつのまに高峰の胃袋つかんじゃってた?」


からかうように笑顔で言えば、彼も


「……そうだよ。だから、おまえは俺と結婚しろ」


こん身の冗談を返してくるだろうと、思っていたのだけど。


「え……うそ」


冗談では済まない小さな箱が、わたしの前に置かれた。