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ギブアンドテイク【後編】

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あたたかい食卓の向かい席

side 由菜



金曜日の終業後に、花田ちゃんと飲みに行った。

平日ずっと働きづめな上に落ち着いたはずの週末にひたすらグチを聞かせるなんてバチ当たりなことをした。

それでも、次の日には二日酔いなのもあってすっきりしないーーのに。


「とりあえず、スポドリ買ってきた」

「ごめん……ほんとごめん」

「いいよ寝てな。メールするって考えにいたらなかった俺もバカだったし」


再会して早々に、高峰のお世話になるとは。

抱きしめ合った直後に、吐き気で死にかけたわたしは、彼に介抱されながらベッドに落ち着き、彼はその足で買い物に行ってくれた。

感動の再会もあったものではない。


「落ち着いた?」

「……うん。 ありがとう」

「やけ酒するとか、知らなかったわ」


笑いながらの言葉は彼なりの気づかいだと分かるけど、むっとしてしまう。

わたしだって、二日酔いになったのはこれが初めて。

こんなしんどいと思わなかった……もう二度と暴飲なんかしない。


「レンチンするおかゆとか買ってきたけど、食える?」

「いまなんか食べたらいけないと思う……」

「じゃあ、寝とけ」


せっかく来てくれたのに、寝るのは申し訳ない。

そう思うのに、見透かすように高峰の手がわたしの頭をなでるから。

安心しきって気がゆるむ。


「おやすみ」


やさしい声が、それを許した。