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ギブアンドテイク【後編】

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昨日の今日だから、さすがにテンションは落ち着いてる。


「今日の献立はー、和風ハンバーグと、野菜スープでーす」


と思ったら、晩ごはんの報告をしてくる。

聞くだけで完成図が描けるのは、長年の経験ゆえだ。

話を聞けば、今日は余裕があったから自炊したというが……、腹いっぱいだったはずなのに、彼女の料理が恋しい。


「ちゃんと部屋片付けてんのか」

「片付けてるよ。自分の部屋で寝てるよ。高峰こそ、ちゃんと食べてんの?」

「……食べてる食べてる」


俺の言動を疑う沈黙が痛い。

今日に関してならすぐにうなずけるのに、うなずいてしまえば彼女がいなくても大丈夫みたいでーーあ、自分にダメージ。

もっと俺が必要だと思ってくれてもいいのに……今だに「料理好きの彼女でも作れ」って思ってんだろう。


「今週末、こっちくる?」


達観してたら、とんでもない変化球を投げて来た。


「……は?」

「どうせまともなもの食べてないんでしょ。土日で東京来なよ」

「無理。今週末は休日出勤で仕事があるから」


彼女からそんな誘いがあるなんて、俺は昨日から夢でも見てるのかってくらい奇跡が続く。

これを自分で断ち切らないといけないなんて、俺はどんだけ運がないんだ。