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ギブアンドテイク【後編】

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上司の前でヤケ酒なんてするもんじゃない。


「うわ、かつてないくらい荒れてんな、おまえ」

「……飲まずにやってられないんですよ」

「今週末出勤だもんな。おまえ、有給取ればいいのにそういうとこまじめだなー」


チェーン店の居酒屋でなく、ほどよく庶民的な個人経営の呑み屋に連れて行かれた。


「え、アリなんですかそれ」

「わりとみんなやってるぞ。土日は休みたいし、会社は有給消化させられるし、お互い様って感じ」

「……なんすかそれ」


まあいろいろあるんだろうよ、と言う上司の言葉はもう半分聞き流れている。

会いに行けるんじゃねーか!

久しぶりに血が騒ぐくらい、うれしいと思った。


「なんだ、高峰。急にテンション上がって。あーあれか、遠距離の彼女でもいるのか」

「えっ」

「ははっ図星かよ、おもしれー」


遠恋じゃないですけど、遠距離で片想いですけど。

説明するのがめんどくさいから、適当に笑っておいた。

すごく気分が良くて、2日連続で連絡寄越すくらいだから電話してもいいかなと、帰り道に電話を鳴らした。


「……は?」


着信拒否設定とわかる音声案内に、酔いは一気に醒めきった。

なんで、切られたんだ?