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エースを狙え

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白チームの先発はルーキーの立華閑輝。
同じルーキー同士とはいえ立華はキャンプ初日からずっとブルペンに入っていたので恐らく仕上がりが他より早い。紅チームの1番打者遠藤有紀(20)が打席に立った。
立華が1球目を投げる。
捕手の紫藤誠也は内角中間に構えるが球は若干抜けてボールになった。2球目は、遠藤さんの顔擦れ擦れの所へ、痺れを切らしたのか紫藤さんが外角低めに構える。だが球はど真ん中へ。待ってましたというように遠藤さんはその球を一瞬で打ち抜いた。
紅チームのベンチが沸く。白チームのベンチは立華に「落ち着いてけぇ立華!」や「頑張れぇ立華!」や「リラックスしろ?」など庇護の言葉が上がっている。良い事なのか悪い事なのか…。しかし立華の奴、大丈夫なのかな。確かにキャッチボールした時、そこまでコントロール良い気がしなかったけど、緊張と相まってんのか?と思うほどだ。
2番打者の三草惣介(26)が打席に立った。
1球目、あらぬ方向へ抜けまさかの右肘へ死球。三草さんは右肘をさすりながら痛そうに一塁へゆっくり走っていく。
立華は、頭を掻きながらスパイクで荒く足回りを叩く。

…そうとう苛立ってんな…

3番打者の左藤三郎(30)が打席に立った。
ベンチから見てても凄まじい程の威圧感が漂っている。あんなのが敵に回るなんて俺は耐えられない…まるで平井の強化版じゃないか…と少し呆れた。
立華はどう対処するのだろうか。
野手との連携か、三振か、ボールか死球で満塁か、ヒットかホームランを与えて失点か。
たった2イニングとはいえここで捉えられたらいつの間にか打者一巡なんて普通に有り得る。
たかが紅白戦。
されど紅白戦。
段々と緊張感が球場内に集まって来た。
1球目、内角低めがきた。
今度はコントロール完璧で球も勢いが乗っている。しかし結果はホームランだった。3ランホームランの3失点。そこからは4番、5番で連続ホームランでさらに1点ずつ入り、まだ初回で5失点を喫した。そして6番、7番、8番打者を連続三振に抑え、35分くらい使いやっと一回表が終わった。
作品名:エースを狙え 作家名:本宮麗果