エースを狙え
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ドラフトでは念願の広島入りを決めた。
ドラ1でなかったのは少し悔しかったが仕方ない。
広島のドラ1は甲子園たは縁がなかったが三浦結城と並ぶもう一人の世代ナンバーワン選手、佐熊昇だった。
佐熊は18Uにも選ばれていたが何かの都合で断るをえなかったらしい。
その後、契約や入団会見や背番号受け渡し、入寮などが冬休み期間に続き初めての事がたくさん起こった。
砂羽監督は俺が憧れていた砂羽恭介の兄であった。
俺は入団会見で「砂羽恭介選手のような投手になるのが夢だ」と言った。
その後砂羽監督に「険しく厳しい道のりだが頑張りなさい」と言われた。
一方でドラ1の佐熊はこういうのに慣れてないのか嫌いなのかずっとムスッとしていた。
そして背番号受け渡しの時も?マークが頭の上に描いてあった。俺は正直言って羨ましかった。
広島の背番号14。
俺が憧れ続けた背番号は今、同年代のドラ1の手の中にあり、砂羽監督は佐熊に「それだけの活躍を期待している」といった。
高卒で即戦力というのはあまりいない。
大体は、シーズン終盤の消化試合に出てくるくらいだ。
即戦力は大卒や社会人卒の選手に言われる言葉で、シューズの箕輪選手も一年目は二軍で鍛えていたのだから。
佐熊は相変わらずムスッとしていた。
一体何が不満なのか俺には理解出来なかった。
そんなこんなで今年は終わった。