エースを狙え
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夏の甲子園が終わった後すぐに、U18世界大会があり代表に選ばれ参加した。
甲子園で活躍した選手を中心に組まれた代表はそれは強かった。
俺もその一員で中継ぎで3試合に出た。
同年代のトップ達と同じチームを組み、試合に参加し、いろいろな事を話し、プロへ行く人と大学へ進学する人とそれぞれだったがいろんな考えがあるのだなと思ったものだ。
考えが変わったのは、世代ナンバーワンの三浦結城と話してからだ。
「三浦はやっぱプロ行くのか?」
「当然だろ」
「通用するって思えるんだな」
「正直言ってプロのレベルが最近下がってきている気がするんだよな、だから俺がプロになることでレベルが上がればいいと思うんだよ」
「何かすげえな」
「立華は?好きな球団とかねえの?」
「あるけど」
「どこ?」
「広島」
「万年最下位の?」
「そう。好きとは違うかもしれないけど、俺さ、砂羽恭介選手が憧れでさ。できればあの背番号を受け継ぎたいんだ、広島で」
「ああ、憧れの選手とかいるんだな?俺は正直いないな」
「そうなのか?箕輪選手とかに憧れてるもんだとてっきり…」
「あんなただ速いだけの投手に憧れるとか有り得ないだろ?俺はすべての意味で超一流の選手になるのに」
「そっか」
「だからさ、お前もプロに行けよ。それで対戦しようぜ」
「俺が一軍の試合に出れるとは限らないぜ」
「最初は二軍だろ、高卒なんだから」
「それもそうだな」
「じゃ約束って事で」
「おう」
こうして俺と三浦はプロでの対戦を誓いあった。