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ギブアンドテイク【前編】

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翌週。


「高峰くん、豆腐潰す気?」

「は?だって、切るんだろ。一口サイズになればいいだろ」

「……包丁使えないなら先に言って欲しかった」


じゃあお皿洗ってくれる?と彼女が食材の前に立ち、手際良く豆腐も白菜も人参もさばいてく。

出汁を取るのは彼女の役割だったから、もう実質彼女一人が料理しているも同然だった。

他の班より出遅れていたはずなのに、いちばんに終わっていた。


「はい、味見して」


材料もまるで同じ。

それなのに、彼女の作る味噌汁が全ての班の中で断トツで美味しかった。

結局、見回りの先生に作業分担してないことがバレて、評価は落ちたけど。


「あーあ……やっちまったな」

「あはは。後片付け、手伝うよ」

「あー。じゃあ洗うからすすいで」


ほどなく、ぱりん、ぱりんとテンポよく皿が割れていって、さらに怒られる。

いや、となりにいたけど、なんで割れるのか分からない。

手際とかそういう問題じゃない。


「後片付け、苦手なんだよねえ」


完璧じゃないことは知ってたけど、もはや才能としか言えないくらいひどい。