ギブアンドテイク【前編】
作ったグラタンは、そこそこ量があったのに彼の胃袋にきれいに収まってしまった。
「じゃあ、また明日な」
「うん。おやすみ」
ゴールデンタイムのバラエティー番組を一緒に見て、9時前に彼はいつものように帰った。
きれいに片付いたリビングを見て、少し気持ちは沈む。
「落ち着かないなあ……」
なんだかんだ、高峰とは3年はずっとこんな感じだ。
たまに我が家に来てご飯を作ってあげるかわりに掃除してもらって、その逆もたまにする。
中学で同じクラスになってから、それが当たり前になった。
「あ、冷凍してた炊き込みご飯あげるの忘れた」
朝食に頓着しない高峰は、放っておくと絶対抜いてくる。
というか、食べる習慣がない。
中学までは伯父さんの家に世話になってたけど、あんまり馴染めなくてそこの食卓には夕食しかいなかったと聞いている。
「……よし、明日はおにぎり作って恵んであげよう」
高校入学をきっかけに始めた一人暮らしだって、海外赴任した両親に仕送りは十分もらっているのだし、買えないことはないのに。
面倒見てあげなきゃ、と思う。
まあ、誰かと食べるご飯がとびきり美味しいことを思い出させてくれた彼だからこその感情が、わたしの心にはずっとある。
「じゃあ、また明日な」
「うん。おやすみ」
ゴールデンタイムのバラエティー番組を一緒に見て、9時前に彼はいつものように帰った。
きれいに片付いたリビングを見て、少し気持ちは沈む。
「落ち着かないなあ……」
なんだかんだ、高峰とは3年はずっとこんな感じだ。
たまに我が家に来てご飯を作ってあげるかわりに掃除してもらって、その逆もたまにする。
中学で同じクラスになってから、それが当たり前になった。
「あ、冷凍してた炊き込みご飯あげるの忘れた」
朝食に頓着しない高峰は、放っておくと絶対抜いてくる。
というか、食べる習慣がない。
中学までは伯父さんの家に世話になってたけど、あんまり馴染めなくてそこの食卓には夕食しかいなかったと聞いている。
「……よし、明日はおにぎり作って恵んであげよう」
高校入学をきっかけに始めた一人暮らしだって、海外赴任した両親に仕送りは十分もらっているのだし、買えないことはないのに。
面倒見てあげなきゃ、と思う。
まあ、誰かと食べるご飯がとびきり美味しいことを思い出させてくれた彼だからこその感情が、わたしの心にはずっとある。
作品名:ギブアンドテイク【前編】 作家名:かずさ