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ギブアンドテイク【前編】

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乾燥機まで回したらえらい時間がかかるから、今日はベランダに干しまくることにした。


「シャツまた増えたんじゃねーの」

「そうなの。場所ないからもう昔の服捨てまくって、そしたら仕事用の服しか残ってないけど、まあそんなに違和感ないよね」

「オフィスカジュアルに救われたな」


シワがつくけど、ブラウスが良かったらしい。

これ、夜までに乾くか?

アイロンかけるところまで面倒見ないと、洗濯の意味がない。


「ベッドの上がもう寝るスペース見当たらないんだが」

「2週間も片付けないと足の踏み場なくなるよね。いつも助かります、高峰先輩」

「……春から大丈夫か、これ」


転勤先が、それなりに遠い。

少なくとも月2回も来れる距離と交通費じゃない。

何かあっても、駆けつけられない。


「え?高峰、仕事忙しくなるの?」


分からず屋の彼女は、のんきだ。


「転勤になった。九州に」


事実を伝えると、彼女は料理の手を止めて俺を見た。

驚き、とまどい、疑いの目を向けてきた。