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ギブアンドテイク【前編】

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思いつきの冗談は、人事部に聞かれてたのか。


「高峰、ご愁傷様」

「……どうしよ」

「もう告白すれば」


同じく都会就職の佐倉と、相談をかねて飲んだ。

彼女にフられてから、そんな予感がしてたと心の準備してたぶんだけ割り切りの早いこいつは、今じゃ大学時代から付き合ってる彼女と遠恋の真っ最中。

俺と滝本の関係を知る数少ない友人は、いちばん正しいことを言う。


「社会人になって1年になるわけだし、大学時代の冗談でなくなったわけだし。本当に離れざるをえないんだから」

「……いや、でもあいつ今ほんとにキャリアウーマンって感じで。キッチンに立つ頻度が減ったんだよ」

「そら、学生の頃みたいにはいかねーよ」


社会人になってから、総合職らしく多忙な滝本の家は週に一度行くか行かないかになった。

2週間行かないと本格的にゴミ屋敷になるから、別にご飯を作ってくれなくても掃除くらいしてもいいと思うが、不公平だからと断られた。

忙しいのに寝床もまともじゃないとか、こっちが気にするんだよ。


「とりあえず、次会うときにちゃんと言えよ。転勤のこと」

「……わかってるよ」

「おまえ知ってたか。おまえ、ためらったり都合悪いときに必ず数秒黙り込むんだよ」


がんばれよーと酒で陽気な佐倉に言われる。

就活の面接で「転勤喜んでします」って言った自分を本気で恨む。