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ギブアンドテイク【前編】

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料理が相変わらずめちゃめちゃうまいから、なおさらふざけるなと思う。


「いつやんの、そのパーティー」

「イブだよ」

「……うわー非リアの集まりかよ」


うるさいなーと彼女は口を尖らすが、俺は心の中でなら窓ガラスを一枚割った。

去年まで、イブさみしいなーと言ってたから仕方なく付き合ってやった俺の立ち位置がなくなった。

合コンをドタキャンしたあの日から、俺は誰も気にもならないのに。


「部屋が汚いって言ったんだけど、押し切られちゃって……高峰さま!23日はシチュー作るから、来てくれる?」

「…………」

「おねがいっ」


物で釣られたりしねーと思ったら、かわいくおねだりしてくる。

……こいつ実は悪女だろ。

でも、距離をつめなかった俺も悪いんだろう。


「わかったよ。食洗機も洗濯乾燥機も、片付けまではしねーもんな」

「ありがとう!そうなの!やっぱり高峰がいないと困るの!」

「……掃除もしねーとだしな。引き払うんなら、なおさら」


俺も彼女も、就職先は都会だ。

四年間、まあ俺が掃除しつつ過ごした家とはいっても、恐ろしいくらいのゴミ溜まりはあるし。

都合のいい言葉でも、必要としてくれるのに断れるわけもなかった。