ギブアンドテイク【前編】
人生のターニングポイント
side 高峰俺も滝本も文系で、4年で大学を卒業する。
「内定決まってよかったな」
「ほんと!もーね、高峰が先に決まったから裏切られた気分だったわ」
「結果オーライだろ。メジャーな企業に選ばれたんだから」
佐倉を交えることはたまにあるが、基本俺たちは変わらなかった。
週2でここに来て、掃除洗濯する。
結局、佐倉以外にこの部屋に入る男はいなかった。
「高峰の戴き物の肉!すごいおいしそうなんだけど」
「あーなんたら牛な。先輩がくれたんだわ」
「すてきな先輩!これステーキにしよう。ああ、食べるのもったいない」
今日は、2人の内定祝いという建前で、俺の近所の精肉店でいちばん良い肉を買ってきた。
俺が出資したと言えばたぶん割り勘にしやがるから、まあ嘘も方便。
そうじゃなくても、テーブルはいつにも増して凝った料理が並ぶ。
「クリスマスにうちでパーティーすることになって、まあ練習もかねて作ってみた。すごい量になったけど」
「ワイン買って来て正解だったな」
「おー!気の利く男!」
パーティーは、大学の友達何人かでやるらしい。
詮索した感じだと、彼女の気に入ってる男もいるようで、いやもうふざけんなよ。
作品名:ギブアンドテイク【前編】 作家名:かずさ