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ギブアンドテイク【前編】

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なんか、安心した。


「何笑ってんの」

「え?笑ってないよ」

「ニヤついてんじゃねーか」


あれ、うそ、ニヤついてる。


「ごちゃごちゃうるさいな。ご飯あげないよ」

「ひっでえ。何のために俺が抜けて来たと……っ」

「ーー何のため?」


なぜか真っ赤になった高峰に、素朴な疑問を投げる。

彼はさらに顔を赤くする。

熱でもあるんじゃないか。


「言わねーよバカ」

「はあ?」

「お!今日はぶりの照り焼きか!うまそー!」


いつもよりテンションが高い彼は、ごまかす気満々だ。

自身で整理した食器棚からお箸を出している高峰を見て、佐倉くんの言葉が思い出された。

でも、全然違う。


「ほんと、なんでも食べるよね」

「そら、滝本の作るもんは間違いないしな。食材の好き嫌いもけっこうなくなったんだ」


うれしいことを言ってくれる。

本当に、高峰はわたしのツボを心得てると思う。