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ギブアンドテイク【前編】

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シーソーゲームの感情

side 由菜



大学生になった。


「よ、滝本」

「おー。佐倉くんほんとに学校同じなんだ!」

「いやいや、連絡して同じ教養とったじゃん。学食行こーぜ」


高峰とは学校が違う。

わたしは、大学が家からは微妙に遠いから下宿を始めた。

というのも、お母さんが病院を移ったことで余裕が出来て家を空けずにすむから、両親から許しが出たのだ。


「高峰、元気?」

「うん。引っ越し手伝ってくれた」

「……おまえらほんとに付き合ってないんだよな?」


佐倉くんのいつもの質問に、当たり前と顔で答える。

電車を2回乗り換えないと来れない場所だけど、彼は週1ペースで来ることを卒業前に宣言していた。

引っ越しして2週間だけど、すでに5回来てる。


「そうだ、佐倉くん今日ヒマ?」

「ヒマだけど、なんかあんの?」

「高峰来るから、佐倉くんも来なよ。食べたいもの作るし」


大学に友達いないのかってくらい来る高峰が少し心配だ。

回数券買ってたけど、定期券にすべきじゃないのか。

それに、せっかくこうして佐倉くんがいるわけだし、会わない理由もない。


「え、いいの?」

「お互い一人暮らしだしね。材料費の割り勘は立派な節約だよ」