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ギブアンドテイク【前編】

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岸本は、2つも年下のくせに、大人らしくため息をついた。


「よかったですね。俺がフられて」

「俺もフられたようなもんだけどな」

「やっぱり高峰先輩の片思いですか」


もう黙っててくれないかなこいつ。


「俺のクラスメイトの女子が、高峰先輩に告白して次の日にはフられたって話してて、まあそれしかないと思ったんすよね」

「……」

「あんまり逃げないほうがいいですよ」


佐倉のセリフとかぶる。

てか、こいつさっき告ってフられたにしてはさっぱりしすぎている気がする。

覚悟はしてたってことか。


「逃げてはいないけど」

「けど?」

「……俺には俺の事情があるんだよ」


負け犬のセリフだなと思いながら、俺は彼に背を向けた。

あの目が見える限りでは、小心者の自分がみじめだ。