ギブアンドテイク【前編】
うわさの2人
side 高峰高校生活初めての夏。
「あの……高峰くんのこと、いいなって思ってて」
「……うん」
「つ、わたしと付き合ってくれませんか……っ」
俺は、高校生になって初めて告白された。
中学のときも、何回か告白されたことはあるけど、全部断った。
俺は片思いしている身なわけだしーー
「で、その告白は受け入れたのね」
「……ああ」
「やったじゃん!初カノおめでとー」
片思いしている相手に祝福される。
こんな虚しいことがあるのか。
あーっと、虚しくしているのは自分か。
「じゃあ、もううちには来れないね」
「え?」
「だって、カノジョにとってはただの同級生の家に行くのはおもしろくないでしょ。愛情ごはん作ってもらいなよ」
その考えはなかった。
うーん……でもいい機会かもしれない。
完全に親公認の兄妹みたいになったことで、ちょっとヤケになったのもあるが、距離を置くのもいい。
「……そーだな」
作品名:ギブアンドテイク【前編】 作家名:かずさ