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ギブアンドテイク【前編】

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お父さんは、一人娘のわたしのことをそれはそれは大事に思ってくれてる。

でも、年を取るにつれてどう扱ったらいいか分からないんだろう。

いつもわたしぐらいの年頃の子供に教えてる人とは思えないくらい、不器用なのだ。


「高峰は弟みたいなもんなの。やましいことなんか一つもないんだから。ねえ?」

「……そうだな。滝本は妹みたい」

「お母さん、高峰と一緒だとすごく楽しそう。あんまり失礼なこと言ってるとお母さんに怒られるよ。ーーって、おいわたしが下か」


高峰の発言にツッコミながら、わたしはお父さんの弱いところをピンポイントで突いた。

お母さんがさみしがりなのは、わたしもお父さんも重々分かっている。

高峰がいてくれることで和らぐなら、もう言い返すことが出来ない。


「ごちそうさま」

「あいかわらず早いな」

「うまかった。半熟加減がすばらしい」


彼のほうが、よっぽどわたしのことを理解してる。

欲しい言葉を分かってる。

掃除機かけてくる、と言って、彼はリビングを出た。


「ーー高峰くん。いいお兄ちゃんみたいだな」


彼の出て行ったドアを見て、ぽつりとお父さんが言った。


「は?なんであいつが兄なの」

「いや……まあ、何かあったらきちんと相談してくれ。忙しくても、ちゃんと話を聞くから」

「……うん」


言いたいことはあったけど、反省したのか真摯になったお父さんに、怒りは簡単に鎮まった。

上から聞こえた掃除機の音に、これが赤の他人だなんて言えるわけもないけど。

……たぶん、下着まで洗濯してもらってることは黙っておいて正解だったな。