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ギブアンドテイク【前編】

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翌日。


「君が高峰くんだね」

「……はい」

「いつも娘が仲良くしてもらって、ありがとう」


わたしが帰宅して作ったオムライスを食べながら、お父さんは自分の前に座った彼にそう言った。

わたしがじっと見ると、一口食べて「あいかわらず完璧な半熟卵だな。おいしい」とほめてくれた。

うれしいけど、そうじゃないよ。


「高峰くんは、付き合ってる女の子いないの?」

「いませんよ」

「でも、由菜(よしな)とは仲良いんだろう」


お父さんが何を聞きたいのかは明白だ。

でも、それわたしの前でふつうする?

高峰が困るでしょ。


「それは、まあ。でも、……兄妹みたいなもんです」

「そうよ。高峰のおかげでごはん楽しく食べれるし、家もきれいなの。仕事とはいえ、家空けてばっかのお父さんに文句言われる筋合いないんだけど」

「由菜……」


せっかく作った半熟卵のオムライスが台なしだ。