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ギブアンドテイク【前編】

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お母さんはテレビを見てた。


「お母さん!」

「なにー?」

「明枝さん。誕生日おめでとうございます」


高峰の言葉に振り向いたお母さんの前に、ロウソクを灯したケーキを置いた。

びっくりした様子のお母さん。

だけど、サプライズは一つじゃないんだよな。


「わあ……ありがとう!高峰くんも!」

「ね!これ見てーって、高峰!」

「はいはい。どーぞ」


命じられた彼は、わたしのスマホをお母さんに渡した。

困惑気味に受け取ったお母さんは、さらに驚いた。

だって、その画面に写るのは、しばらくぶりのお父さん。


「明枝、誕生日おめでとう」


文明の利器を知らないからなあ。

ふつうの電話はしても、テレビ電話は発想にないと思ったんだ。

お母さんの疲れ切ってた顔が、急に女の子みたいな表情になった。


「俺ら邪魔じゃね?」

「ふふ、そうだね。わたしの部屋に行こ」

「……片付けか」


否定できないから笑うしかない。

でも、お母さんへのあのプレゼントは、高峰が提案してくれた。

わたしがお父さんに連絡とって時間を作ってもらったから、2人で用意したプレゼントなの。