ギブアンドテイク【前編】
食後にキッチンに立った彼のとなりに並んで、わたしは紅茶を淹れる。
「生クリーム作ったの?」
「うん。今日、お母さんの誕生日なのよね。お祝いにケーキ作ってみた!」
「うわーそういうことは早く言え」
知ってたらプレゼント用意したのに、と彼は怒る。
彼はちっともわかってない。
高峰と知り合ってから、お母さんは前よりも元気になったの。
「物はいらないよ。おめでとうって言ってくれるだけで、十分なんだから」
「そんなもんか?」
「そうだよ。あんたに兄ができたみたいでうれしいって、言われたことあるもの」
高峰は弟みたいなもんだけど、それでも昔「兄弟がほしかった」と駄々をこねたわたしを思っての言葉に、わたしもうれしかったのをおぼえてる。
「……そんなもんかね」
「そんなもんよ。はいはい、ライターお願いね」
「ちょ、これ乾燥機かけるから待て」
「生クリーム作ったの?」
「うん。今日、お母さんの誕生日なのよね。お祝いにケーキ作ってみた!」
「うわーそういうことは早く言え」
知ってたらプレゼント用意したのに、と彼は怒る。
彼はちっともわかってない。
高峰と知り合ってから、お母さんは前よりも元気になったの。
「物はいらないよ。おめでとうって言ってくれるだけで、十分なんだから」
「そんなもんか?」
「そうだよ。あんたに兄ができたみたいでうれしいって、言われたことあるもの」
高峰は弟みたいなもんだけど、それでも昔「兄弟がほしかった」と駄々をこねたわたしを思っての言葉に、わたしもうれしかったのをおぼえてる。
「……そんなもんかね」
「そんなもんよ。はいはい、ライターお願いね」
「ちょ、これ乾燥機かけるから待て」
作品名:ギブアンドテイク【前編】 作家名:かずさ