ギブアンドテイク【前編】
まるで兄妹のよう
side 由菜高校生になってから、一人暮らしの高峰はわたしの家に来る頻度が多くなった。
「あ、高峰くんじゃーん!いらっしゃい」
「お疲れさまです、明枝さん。お邪魔してます」
「高峰ー運んでー」
中学時代の休日に高峰を呼んだことがあって、お母さんとは顔見知りになった。
だから余計に、足が向くようになったんだろう。
食卓が明るいのは、うれしい。
「お、ハンバーグ!」
「お母さんの好物だからね」
「わーいちゃんとプレートだー!」
お母さんはお子様ランチ的なのが好きだから、たまに帰ってくるとだいたいプレートメニューになる。
洗い物が減るから、プレートは鉄板だけど。
お皿は極力使わないのが、わたしなりの知恵。
「スパゲティーとハンバーグと千切りキャベツ。うん!久しぶりのごちそうだわー」
「はいはい、食べよー」
「いただきまーす」
3人で手を合わせて、ご飯を食べる。
今日は奮発してケーキも作った。
たぶんお母さんは自分の誕生日を忘れているから。
作品名:ギブアンドテイク【前編】 作家名:かずさ