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ギブアンドテイク【前編】

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昼食時間は、そのまま昼休みに続いた。


「高峰遊ばねーの?」

「ああ。ちょっと……」

「ん?まあいいや」


佐倉に訝られながらも、俺は誘いを断って彼女を探した。

礼を言わないと。

本当に、笑っちゃうくらい美味しかったこと。


「……あ」


芝生広場のはしに、彼女を見つけた。

友達のリュックを見張るのも兼ねているのだろうが、完全にお昼寝していて意味がない。

ちょっと離れたところで女子たちがバドミントンをしているが、ノーコンすぎて羽が飛ぶかもしれない。


「滝本」

「……んー。あれ、高峰くん」

「また、俺に飯作ってくれない?」


寝ぼけ眼が、いつもより大きく見開かれた。

やっぱり寝不足なんだな。

胃にずっしり残る弁当の重みが、その答えでもあったけど。


「え……っと。次遠足があるとき?」

「……いや、晩ごはんとか……ダメかな。滝本の作ってくれた弁当、すげーうまかったから」

「ーーいいよ。つくるよ!」


笑顔と料理。

胃袋と心をつかまれたこの日。

俺は、彼女におちた。