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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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眠りの庭 探偵奇談2

INDEX|37ページ/37ページ|

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瑞は伊吹から目を逸らすと、深く息を吐いて、独り言のように呟くのだった。


「…二度も失うわけにはいかないから、必死なんだよ俺」


聞き返す間もなく、瑞は立ち上がって行ってしまう。甘い匂いだけ残して。彼の言葉に、戸惑いつつ、伊吹はその背を追いかけられずにいた。

(…二度?)

まるで、一度失ってしまったかのような言い方。
そして同じ感覚を、伊吹もまた抱いていることを自覚している。

いつかどこかで出会った記憶。
いつかどこかで離れた記憶。
引っ越しとか、死別とか、そういう別離とは違う「別れ」を、自分たちは経験している。


それがいつで、どこで、どんなふうだったかはわからない。


それでも、それはもう確信に近い形で心をざわめかせる。
それがなぜかを理解することは、二人にはできないのだった。




いずれまた死んで。
いずれまた生まれる。

再び出会うそのためだけに、何度でも。

「彼」の魂が持つ、大きな執着のためだけに。











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