眠りの庭 探偵奇談2
「…古い魂の持ち主よ」
「え」
「なんのために転生を繰り返す?ぬしの失ったものはなんだ?」
どういう意味、と聞き返す。
「そういうおまえにだから、われの声が届いたのだろうな…」
少女が目を閉じると、辺りの風景は一変した。光に包まれたかと思うと、中庭に瑞はいた。明るい日差しの差し込む中庭。古ぼけたベンチに、作業着姿の浅田が座っている。柔らかな日差しの下で微睡んでいるらしい。
その足元に、白い狐が寄り添っていた。柔らかそうな毛並みが風に揺れた。大きな瞳が、幸福そうに閉じられる。
(ああ、よかった…もう、これで…)
意識が薄れていく。心地いい眠りの中に、瑞は落ちていった。
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作品名:眠りの庭 探偵奇談2 作家名:ひなた眞白