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からっ風と、繭の郷の子守唄 第31話~35話

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からっ風と、繭の郷の子守唄(32)
「丑三つ時(うしみつどき)の飲み屋では、人の道を外れた話が2つ3つは始まる」

 「ママ。俺ひとりを悪ものに仕立て上げるな。
 確かにヤクザ稼業の俺様だ。
 世間様から、褒められるようなことは一切していねぇ。
 だがな。大きな声じゃ言えないが、今夜この店に集まっている連中だって、
 みんな似たか寄ったかの大人たちだ。
 人の道に外れた悪さをしている連中が多い。たぶんあな。
 時刻も深夜の2時を過ぎる。昔風に言えば『草木も眠る丑三つ時』
 というやつだ。
 こんな時間まで起きている連中に、ろくな奴はいねぇ。
 普通の人間ならみんなとっくに明日のために、おネンネをしているはずだ」

 「怪談でよく言われている、『丑三つ時』って、実際は何時なの?
 深夜であることはわかりますが、現代の時間でいえば何時くらいかしら」

 岡本の隣へ移動した美和子が、可愛く小首をかしげてみせる。
ママは俊彦と康平のわずかな隙間へ、お尻を無理矢理に割り込ませていく。
自分の席を確保した辻ママが、満面の笑みで美和子の疑問に答える。