からっ風と、繭の郷の子守唄 第31話~35話
からっ風と、繭の郷の子守唄(34)
「義を重んじる博徒でさえ、お釈迦様の5本の指の上で生きている」
「義理人情に命をかけて、しのぎを削るという任侠道の考え方は、
もう映画の中だけに残っています。
いまの指定暴力団やヤクザの世界では、ありえない事です。
義理も人情も、はるか昔に廃っています。
暴力団員がみんな高倉健や藤純子ようだったら、問題は起こりません。
実際には内部抗争や、競合する組織と利権をめぐって、
抗争に明け暮れています。
活動を支える軍資金だって、覚醒剤の密売や、オレオレ詐欺から
生みだされているし、市民に対する恐喝や、水商売の
みかじめ料でまかなわれているの。
暴力団対策法ができてからは、活動がかなり制限されるみたいですけどね。
それでもまだ日本には、たくさんの組織と人数が暴力団に残っています。
ねえぇ・・・・そのあたりの事情に特に詳しいはずの、岡本さん?」
怖いものを知らない辻ママは、屈託ない笑顔を岡本に向ける。
黙って聞いていた岡本も、「そうだな。そんなもんだ」と苦笑いを見せる。
作品名:からっ風と、繭の郷の子守唄 第31話~35話 作家名:落合順平