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からっ風と、繭の郷の子守唄 第26話~30話

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からっ風と、繭の郷の子守唄(27)
「最終電車が走る真っ暗闇の先へ、さらに続くレールの先には何がある?」

 広瀬川に架けられた2万個のLED。
人造の天の川を横目に、川に沿ったプロムナードを10分ほど北上すると
上毛電鉄の中央前橋駅へ到着する。
ここから美和子の実家がある駅は、7つ目。康平が降りる駅は8つ目。
なだらかな赤城の山麓に、2人の降り立つ駅が並んでいる。

 広瀬川の青い天の川を満喫してきたカップルが、発車間際の
プラットホームから、名残惜しそうに川面の様子を眺めている。
肩を寄せ合った姿が、ほのぼのとしていて美しい。
少し離れた場所から、美和子が恋人たちの姿を羨ましそうに見つめている。

 (私たちも、あんな風に青春を謳歌できるはずでした。
 でも、どこかで歯車が狂いはじめた。
 修復がきかないまま、いつのまにか離れ離れになり、異なる道を歩き始めた。
 ボタンの掛け違いとよく言うけれど、最初の気持ちのすれ違いが、
 いつのまにか別の生き方をつくりだした。
 康平は一人身のままでも、あたしはとっくに戻ることのできない人妻だ)

 「どうかした、美和子? 
 若い者に刺激でも受けたか・・・妙に感傷的な背中をしているぜ」