からっ風と、繭の郷の子守唄 第26話~30話
からっ風と、繭の郷の子守唄(29)
「上電23番目の最新駅は、片側にホームがあるだけの無人駅」
康平と美和子が降り立ったのは、上毛電鉄の23番目の駅として
開業したばかりの『桐生球場前駅』。
ここは桐生市の西の郊外。
広い敷地にプロ野球規格の野球場やテニスコート、体育館などが立ち並ぶ
運動公園。
新しい施設が増設されるたび、新駅の設置が熱望されてきた。
平成の大合併がすすむなか、桐生市は1市2村による合併を
難産の末に実現させた。
あたらしく加わった新里村と黒保根村は、いずれも飛び地だ。
合併を記念する事業のひとつとして、飛び地を通過する新駅の設置が決定した。
ドアのない待合室と、片側だけにホームのある無人の駅が完成した。
作品名:からっ風と、繭の郷の子守唄 第26話~30話 作家名:落合順平