純愛
そんな気持ちはなかったのに、時間の経過とともに、昇の体は若返っていく感じがした。
浅草寺でのご利益ではあるまいが、ホテルで弘子と2人だけになってみるとくちづけをした途端に弘子の胸に手が自然に伸びて行くのであった。その感触は忘れていたものを思い出すかのように、性欲からではないように思えた。弘子の方も強く昇の体を抱きしめていた。
「シャワーを浴びてくるわ」
そんな言葉も新鮮な言葉であった。
バスタブを纏った身体の見える部分は若い女の肌である。昇はそれを観て、まだ自分たちは若いのだと気付いた。
昇は弘子の身体を手元に引き寄せると、その温かさから幸せの温かさを感じた。