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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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純愛

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 時間つぶしにスカイツリーを観てから、弘子との待ち合わせの浅草寺に行った。お互いに携帯で写真を送ってあったのですぐに捜すことが出来た。ただ無言で手を握り合った。弘子からは香水の爽やかな香りを感じた。くち紅もあの大学生の時の色のように思える赤であった。
不思議なものである。昇はすっかり年の事など忘れてしまっていた。浦島太郎とは全く逆であった。23歳の時に戻っていた。
 線香を買いその煙を身体に当てた。
「若返る様に」
心のなかで呟いた。咄嗟に浮かんだ事であった。
「弘子さんは何をお願いしましたか」
「昇君との結婚よ」
「本気にしますよ」
「私はとっくに離婚しているの」
昇は1人暮らしの事を電話で弘子には話していた。淋しさを紛らすための付き合いと思っていたが、この年で、まだ妻を亡くし2年足らずではと考えてしまった。
 これがいけないのだと昇は感じた。決断はしなくてはいけない。世間を気にすることはないだろう。自分の人生だから、それに残り少ない人生なのだから、淋しさから解放され、初恋の人と結ばれるのだから・・・
 昇は思った、弘子にくちづけをしてそれを自分の気持ちにしようと。ところが浅草寺には人ばかりでそんなチャンスはない。
「どこか店に入りましょうか」
「ホテルがいいわ。お泊りしましょう」
「それは嬉しい」

作品名:純愛 作家名:吉葉ひろし