真理子の勇気
「失礼します」
真理子はドアをノックしてから、そう言った。
「どうぞ」
校長室はストーブが焚かれていた。
「クラスの灯油が無いのですが、事務長さんが校長先生に頼んで欲しいとおっしゃるので」
「何とかしたいのですが、予算が無くて」
「PTA会費からなんとかなりませんか」
「すでに予算は組まれていますから」
「灯油代として徴収できないのですか」
「それは無理です」
「どうしてですか。寒いよりいいでしょう」
「県から予算が来てますから、灯油代としては駄目です」
「ではどうするんですか?風邪をひいたら」
「そこです、明日にでも温かな服装で来るようにと放送しましょう」