真理子の勇気
「事務長さん、灯油がクラスに無いのですが」
「予算が無くて、1日5リットルで我慢して下さい」
「節約してますよ、今年は寒いんですから、何とかなりませんか」
「燃料費は底をついているんです」
「そこを工面できないですか」
「先生には解らないと思いますが、科目別の予算でして、他の予算を回せないのですよ。旅費は余っているのですがね」
「そこを何とかできないのですか」
「監査で叱られますよ」
「生徒が風邪をひいたら責任持ってくれますか」
「怖いな、校長に言ってください」
校長室は事務室の隣にあった。
「解ったわ。来客は無いですね」
「大丈夫です。校長はお一人です」
若い女の事務員が言った。