真理子の勇気
「先生寒いよ」
真理子は
「灯油貰ってくれば」
とその生徒に言った。
もちろん規則違反だとは知っていた。
大学受験を控えた3年生である。風邪をひいたら大変だと思ったのである。
「だめだって」
その生徒は空の容器を持って帰った。
「自習していて」
真理子は自分で灯油倉庫に行った。
そこには用務員がいた。
「おじさん、灯油ください」
「さっきも生徒が貰いに来たけれどだめって言ったばかりだよ」
「寒くて風邪をひくわよ」
「事務室に行って事務長に言ったらいいよ。予算が無いって言ってた」
「解ったわ」
真理子は事務室に行った。