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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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路上の詩人

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上野公園


彼の名は上田誠48歳である。
彼は西郷さんの銅像のあたりで、段ボールを広げて座り込んだ。11月の中頃である。
薄汚れた革のジャンバーとジーパンを履いていた。髪も髭も伸びているが、目は輝いて見えた。しかし顔はやつれている。
彼はホチキスで留めた5枚ほどの印刷物を段ボールに乗せ石ころを重しに乗せた。

僕の詩です。1部100円。

彼はダンボールに書いた看板を首から下げた。
昨日の朝から水しか飲んでいなかった。
以前ならコンビニで期限切れの弁当にあり付けたのだがいまではそれも出来なくなった。
彼の詩の一部を覗いてみよう。

 秋の月

丸い月が出ている
一五夜を思い出すな
団子を盗みに行った子供のころ
うまかった
あ、あ
この月がまんじゅうに見える
このカップめんの容器に
水を一杯入れて
まんじゅう食ってやる

作品名:路上の詩人 作家名:吉葉ひろし