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からっ風と、繭の郷の子守唄 第16話~20話

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からっ風と、繭の郷の子守唄(18)
「乙女の前髪にひそむんでいた恋心と、貞園のいまの本音」

(それにしても・・・)さらに貞園が口の中でつぶやく。

(麗しかった乙女が、大学卒業と同時に愛人生活へ入ってしまった
ということを、康平は十二分に知っていたはず。
それなのに、一言もそのことに触れてこない。
面と向かって『生き方を変えたようだね、俺の知っている貞園ではなくなった』
と正面から言われたら、やっぱりショックだもの・・・・)


 「で、いつ頃からの事なんだろう。
 日本の女性が、競い合って、髪を染め始めたのは」


 パラりと下がってきた前髪を、貞園が指で上空へ弾く。
白い額を覆い隠すように、いつも垂らされていた貞園の長い前髪は、
いつのまにか、前髪編み込みというスタイルに変わっている。
三つ編みにされた編み込みが額に沿って流れたあと、左サイドの耳の上で
くるんとひとつにまとめられる。
ふんわりとした形の、ヘアコサージュを花模様のヘアピンで、
柔らかく抑えるのが貞園のお気に入りだ。