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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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硝子文字

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透明な形



あなたの体は
ペットボトルの容器の様に
透明であり
その身体のなかは
飲料水の様に透明な液体で有った

その液体のなかを
泳ぐものがあった
それは小さな魚の様であるが
ときどき離れたり群れをなして泳いでいる

透明ゆえに
覗いた僕の顔が映し出されている
ぼくの顔のあたりを泳ぐ
小さな魚たちを
掬い挙げると

てのひらから逃げ去るもの
てのひらに残るものがいた
丸めたてのひらは
小さな魚にとっては池の様なのかもしれない
泳いでいるが

てのひらからは水が落ち
小さな魚はひと塊りになって
ぼくのてのひらに残っていた
あなたから届いた手紙
その文字の様に
手紙を握り締めた日を思い出す

作品名:硝子文字 作家名:吉葉ひろし