灰と真珠
男が立ち尽くしていると、やはり銀色と緑色の服を着た1人の中高年の男性がやってきました。
「何だ、君。随分と古い格好をしているな」
(ええっ、随分と古い格好!?)
男は、ぽかんと口を開けてその人を見つめました。
「いや、君の服装はさ、何百年も昔のスタイルだよ」
(何百年も前のスタイル!!?…どういうことだ?この人、いったい何を言ってんだ??)
男は、困り果てた顔をするしかありませんでした。中高年の男性は、こう言いました。
「いや、ちょっと言葉が悪かったかな。もしかして君はコスプレくんかい?もしそうなら、個性的で随分面白いな。はっはっは…」
そう言うと、中高年の男性は、キューブ型の建物のある方向へ歩いていきました。
1人残された男は、絶望のあまり両膝を突いてしゃがみ込み、頭を抱えて声のない叫びを上げました。それからすぐに、男は手の辺りが妙に涼しく感じました。頭から手を離して両手を見ると、恐ろしいことに、両手首から先がありません。彼はぞっとして、口を震わせました。
そうこうしているうちに、彼の両腕がどんどん灰になり、頭も灰になり、ついには彼の全身が灰になってしまったのでした。