灰と真珠
たどり着いた場所〜灰と真珠
ついに、男は長い長い階段を上りきりました。彼は腕をいっぱいに広げて大声で
「あー、やった!やっと上まで来たーー!」
と言いましたが、声が出ません。男は口の動きだけで
「あれ?何で声が出ないんだ」
と言いました。彼の体から血の気が引きそうになりました。
男を絶望させたのは、それだけではありません。彼の目の前に広がっていた光景は、彼の住んでいた地域のそれとは全く違うものでした。
銀色のピラミッドのようなビルや、楕円形を縦にしたような形のビルがちらほらあり、空にはヘリコプターに似た物体が浮かんでいました。
道行く人たちは皆、SF映画に登場する宇宙パトロール隊か何かのユニフォームのような、銀色と緑色の服を着ています。もちろん、彼の知っている人は1人もいません。
(ここ、どこだよ……)
男には、もはや何が何だかわかりません。