小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

雨闇の声 探偵奇談1

INDEX|1ページ/34ページ|

次のページ
 

はじまり



天井が見える。白い天井。意識が徐々に覚醒する。
ここはどこで、自分は誰だっけ。
それを思い出すのに数秒の時間を要した。夢の余韻のせいだろうか。夢を見ていた自覚はあるが、どんな夢だったのか思い出せない。いつもそうだ。

「……曇っているのか」

薄暗い自室。カーテンの向こうの静寂。
途端に、猛烈な孤独に襲われる。世界中に、いま自分だけしかいないような言葉にできない孤独。それは時間とともに少しずつ消えていき、ベッドに起き上がって数秒で、彼は完全に覚醒した。

このわけのわからない孤独は、時折彼の心を静かに揺さぶってくる。決まって目覚めの直後だった。寝ぼけているだけなのだろうけど、胸がしめつけられる一瞬には慣れない。自分は孤独な身ではない。家族も息災で、友人にも恵まれている。孤独というものを味わったことはないはずだ。それなのに、どうしてそのように感じるのかわからない。

(転校初日だから、緊張してんのかな。柄にもない)

彼は寝癖だらけの髪に手を入れる。みっともない、と母に渋い顔をされるミルクティー色に染めた髪。癖毛がゆるいパーマのようにうねっているのが、彼は気に入っている。

「おはよう、じいちゃん」
「お、早いな」

身支度を整えてから居間に顔を出す。祖父が新聞を読んでいた。

「まじめで感心なことだ」
「転校初日から遅刻したらカーチャンにぶっ飛ばされるから」

ちゃぶ台には、ほかほかと湯気をたてるみそ汁と白米が用意されていた。

「あまり気を張るな」
「や、じいちゃんに迷惑かけたり、だらけた生活した時点で即実家に戻るって約束だからさ。気を抜けないよ」
「怖いなあ、おまえのカーチャンは」
「アナタの娘デショ」