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からっ風と、繭の郷の子守唄 11話~15話

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からっ風と、繭の郷の子守唄(14)
「湖畔に残る現代の神隠しの話と、恋人たちのヤドリギ」

 「赤い傘をさした中年の主婦が、忽然といなくなった事件が、それだ。
 今から10年ほど前の話しだ。、
 千葉県から夫と娘、叔父と叔母、義母を伴った一行が、三夜沢の赤城神社の
 別宮へ、ツツジの見物にやってきた。
 せっかくだから、山頂にある奥宮へ行こうということになった。
 車を飛ばし、大沼の湖畔まで登ってきた。
 だがあいにくの雨のため、奥宮の赤城神社に行くのは夫と叔父の二人だけで
 あとは全員が残り、車の中で待機することになった」

 「神秘的な雰囲気を持つ、雨の山頂での出来事ですか・・・
 ミステリーの要素は、充分に満たしていますねぇ」

 「しばらくしてから主婦が、「折角だから、お賽銭をあげてくる」と、
 財布の中から、お賽銭を取り出した。
 2人のあとを追い、小鳥ヶ島へ向かう赤い橋を神社に向かって歩き始めた。
 主婦は、赤い傘を差して、ピンクの派手なシャツに黒のスカートという、
 遠くから見ても、すこぶる目立つ格好だった。
 神社に向かったはずの主婦の姿を、娘さんが、境内とはまったく
 別方向の場所で佇んでいる姿を、偶然に目にしている。
 そしてそれが、家族が目撃した主婦の最後の姿になってしまった」

 「えっ、別方向にたたずんでいる主婦を、娘さんが見ているの・・・
 あら、やっぱりミステリアスですねぇ。展開が」