深淵の流れ
その瞬間
夏のきまぐれ夕立に打たれて雨宿り
小さなサンダル足に泥がはね返って
少し寒いのか 君は小さくかがみこみ
僕はタオルを投げて 再び雨を眺めた
雨雲は西の空から去り まばゆいばかりの太陽が現れ
湿ったシャツで君を抱きしめ 銀色の瞬間を黙って見つめる
疲れたココロを連れてなじみの公園むかう
池はもう蓮の葉で埋めつくされて
小さな橋の上に 君はそっと腰を下ろし
僕は自転車をとめて 同じように池を眺めた
蓮の葉は西風にあおられ 鮮やかな夕陽の影がきらめき
目と鼻の先のトンボの大群 金色の瞬間を黙って見つめる
アスファルトは白い煙をたたせ 朱色の流れ雲尾は太陽に染められ
雨に濡れた木のすき間から虹 何も見えなくなるほどの輝き
銀色の瞬間を黙って見つめる
金色の瞬間を黙って見つめる