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嘘と演技

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 松井は持っていたノートパソコンを出した。そこにUSBフラッシュメモリを差し込みデータを再生した。
 今度は音声だけでなく真由美さんも本条則明も映っている。
『あなたロシアに行ったんじゃ』
『聞いたわよ。さくらから』
『信じられない。娘を何だと思っているの』
『お父さん、お母さん』
『がっ』
 そこには本条則明が確かに真由美さんを殺す映像が映っていた。
 さくらさんは目を伏せて、
「お母さん…」
 そう涙声で言った。
「もうこれは裁判をするレベルじゃないな。警察に持っていく代物だ」
 私は指名手配をされている事もあり霧島に頼み、警察の持って行ってもらう事にした。指名手配をされているので、持ち物を没収されるかもしれないからだ。
 そして私は自らさくらさんを囲まっている事で出頭した。松井のノートパソコンを霧島に託して。
 私は一晩留置所に入れられたが、次の日の朝、霧島のおかげで釈放された。
 あやめさんも無事帰国した。さくらさんと由美とあやめさんと松井と霧島に会い、その時松井のパソコンのニュースの動画で本条則明が指名手配されていた。
 政治の裏工作。少女への虐待。一晩で形勢が一気に逆転した。
「本条は逃げているそうだ。何れ警察に捕まる」
「いえ。父は出頭すると思います」
 さくらさんはそうはっきり言った。
「そうなの?さくらちゃん」
 由美が訊くと、
「私には分かります。そして父は行く筈です。自分の会社に…自分の過去の経歴をなぞりに」
作品名:嘘と演技 作家名:松橋健一