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嘘と演技

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 私と松井が2名部屋、由美と野副さんとさくらさんが3名部屋に泊まった。その晩はホテルで静かに寝ることにした。
 次の日の10時頃私達は松井と私の一つの部屋に集まった。私はさくらさんに会うと、
「どう気分は?」
「落ち着いてます」
「では社長室に入ってデータを取りに行ってくれる?」
 さくらさんはしばらく沈黙した。
 そして皆の緊張が張り詰める中、沈黙を破る様に、
「私行きます。社長室に今夜行きます。父にはむかいます」
 そう言った。
「ありがとうさくらさん」
 私は言うとさくらさんは、
「いいえ。みんなこそ私の為に」
 そうして私らはテレビをつけて夜まで待つことにした。松井がテレビを見ながら、
「まずい。もう結城さんとあやめさんの名前がニュースに流れているぞ」
「都内にいなかったのは正解だ。夜までもってくれ」
 夕方の3時頃になると、
「今度はロシアでのニュースだ。なんだ日本人の若い女の子がニュースに出ている。暴行をしたそうだ。ロシア人男性5人を空手かキックボクシングと思われる手段で殴りつけ逃走した。そのロシア人の一人がTEPの関連するロシアの外務大臣だそうだ。
「ひょっとしてあやめさん」
「その日本人は警察に出頭し持っていた携帯のボイスレコーダーを提示した。そこには裏取引の可能性としての操作がされているそうだ。
 さくらさんは、
「あやめは格闘技を習っていたんです。いつか何かの節に私の役に立てばと、いつも会うたび汗をかくほど熱心に…あやめ…」
 そう涙ぐみながら言った。
 7時になった頃私達はまたタクシー2台で都内に向かった。
作品名:嘘と演技 作家名:松橋健一